−田中良茂ピアノ・リサイタルでの
新たな挑戦−
クラシック音楽を楽しみとしてくださる方の減少。これは日本だけでなく伝統的な音楽の地、ドイツ等でも昨今大問題となっていることです。
少しでもこの現象を良い方向に導ければと思い、微力ながらこれまでクラシックの導入的トーク・コンサート等、幾つかの試みを行って参りました。トーク・コンサートでは、これまでクラシック音楽と接点がなかったお客様にも分かりやすい解説と、ポピュラーで質の高い名曲を演奏することを通じ、幸いにも好評を得て参りました。しかし一方で、幾分難解で本格的なリサイタルを行なった場合、「少し難しかった」「解説がほしかった」「曲目解説の意味が解からない」等、後に感想をいただくこともあり、どのようにすればより多くの方にご理解いただけるものか、頭を悩ませて参りました。また長年に渡り音楽を愛好してくださっている方の中には、トーク・コンサートに対する抵抗も存在し、事実、トークがお客様に「ある種のイメージ」を与えてしまう可能性があること、またコンサートにトークを入れる行為そのものが音楽の本質を遠ざけてしまう危険性もあります。2006年12月7日のピアノ・リサイタルより、2種類の曲目解説をご用意するようになったのはそのような経緯にあります。
1つはこれまで通りの曲目解説書、もう1つの解説書では専門的用語・言い回しをなるべく排し、それらを用いる時も噛み砕いた説明を施す、言うなれば「入門編」を作成しました。これら2種類の解説書をご用意し、お客様にはどちらかをお選びいただくスタイルをとってみました。このような試みは、私の知る限り前例がなく、まだ実験的ですが、今後少しでも音楽をお楽しみいただける方が増えてくださればという願いを込め、この試みに対する皆様のご理解とご支持を希望しております。